長い長い夏休みが終わり、やっと日常が戻ってきてママやパパもホッとしてる頃ではないでしょうか?「朝、起きれなくて困っています。毎日、遅刻ギリギリ!」「1学期までは何とか起きれていたのに、朝からボーっとして準備してくれません」「年々、夏休み明けの切り換えが難しくなっています」などの質問がママパパ編集部へ寄せられます。そこで、今回は「起立性調節障害」について、長年、医療機関で起立性調節障害の心理療法に携わっている公認心理師・臨床心理士の吉田直樹先生に聞いてみました。
夏休み明け、「朝起きるのがつらい」というのはよくある光景です。しかし、小学校高学年から中学生の子どもによく発症する「起立性調節障害」という病気をご存じでしょうか?起立性調節障害になると、頭痛や立ちくらみ、めまい、朝の起床困難、食欲低下などの症状がでてきます。悪化すると、倦怠感や意欲低下など心理的な症状や、時には失神する子どももいますので注意が必要です。
「朝なかなか起きれない」という訴えが一番多いですね。そして、目が覚めても頭痛や腹痛、めまいなどでベッドから出られないケースが多く見られます。起きてからしばらく時間が経たないと食事が出来ない子どもや、夜の寝つきが悪くなる子どももいます。そのままにしておくと、悪循環が起こり、登校しぶりや不登校の原因にもなりますので、適切な対処が重要になります。
起立性調節障害の子どもの場合、午前中は身体症状や気分が悪かったりするのですが、午後や夜には元気になるケースはよくあります。「怠け」や「やる気がない」、「登校しぶり」「学校不適応」と捉えられてしまうこともあるので注意が必要です。起立性調節障害の診断には様々な検査が必要なので、まずはかかりつけの小児科を受診されることをお勧めします。
起立性調節障害は、自律神経の乱れによって起こります。自律神経は、交感神経と副交感神経という2種類からなり、わたしたちの身体を調整しています。ただ、自律神経の機能が悪化すると、交感神経、副交感神経のバランスが崩れて、さまざまな症状が現れるのです。
起立性調節障害の有病率は、軽症例も含めると中学生の約10%と言われています。また、不登校になった子どもの約3、4割に起立性調節障害がみられます。起立性調節障害は自律神経の機能障害をベースに、季節や気候の変化など環境の変化、生活リズムの乱れ、日常の活動力低下による筋肉・骨や循環などの身体機能の低下、心理社会的ストレス等が複雑に影響しあう病気です。このような、さまざまな要因が重なって悪循環に陥ると登校しぶりや不登校につながっていきます。
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