夏休み中は、海や山などでの自然体験や家族旅行、実家への帰省などなど…。子どもとの貴重な時間を過ごしたママやパパからの嬉しいメッセージ!ありがとうございました。普段とは違って、長く過ごすと子どものいい面も見えてきますが、悪い面も気になってくるようです。そこで、今回は、夏休みに寄せられた読者の皆さんの質問に、小・中学校14校でスクールカウンセラーを務める公認心理師・臨床心理士の吉田直樹先生に答えてもらいました。
この時期は、子どもを見つめなおすいい機会です!
夏休みを振り返り、子どもの様々な面を見つめなおしてみましょう。子どもへの理解を深めるヒントが夏休みにはたくさんあったはず。例えば、学習面は漢字や計算などの宿題、生活面はお手伝いや夏休みの計画、コミュニケーションは友人関係や親戚などへの対応、自己表現は作文や絵・・・また、最近は、夏休み中に家庭訪問や個別面談がある学校も増えているようなので、担任の先生からの話も貴重な情報になりますね。
小学校2年生の男の子です。夏休みの宿題を、親が横に付いてさせているのですが、勉強に集中できません。落ち着きがなく、あれやこれや理由をつけてウロウロします。このままで大丈夫なのでしょうか?
小学校3年生になると理科や社会などの教科が新たに増えたり、ある程度、練習しないとマスターできない単元が出てきたり、積み上げていくことが必要な学習も多くなってきます。まず、学校での適応の様子を確かめることが必要になります。担任の先生に聞いたり、参観日など少し早めに学校に行って子どもの様子を観察してみましょう。落ち着きのなさや不注意が原因で学力が伸びないと、勉強への自信がなくなり、学習への意欲もしだいに減退するので注意が必要です。
子どもの「くせ」が気になります。普段は注意しないように気を付けているのですが、余裕がない時や忙しくてイライラしているときには、つい頭ごなしに叱ってしまいます。怒ってから後悔はするのですが、子どもを傷つけてしまっているようで…。
子どもの「くせ」は、ものをかむ(爪や鉛筆など)、身体を揺らす(まばたきや唇をかむ、貧乏ゆすりなど)、音を立てる(咳払いや鼻をならすなど)など様々です。最近は「くせ」は「愛情不足」ではなく、うまくいかないときの苦しさを紛らわす代償行動として心理学では捉えるようになっています。「くせ」は行動であり、親の愛情や子どもの性格とは直接関係がないこともあるのです。したがって「そのくせ止めなさい」と叱ったり「汚い」「うるさい」など子どもを否定するような発言はストレスになり、かえって助長することにもつながるので注意しましょう。
小学6年生になってから登校しぶりが続いています。6月には頭痛や腹痛を訴えるので、かかりつけの小児科を受診しましたが、身体の異常はありませんでした。夏休みは元気に戻りましたが今後が心配です…。
夏休みに頭痛や腹痛の症状が減少して、9月から再発するようであればストレスが原因かもしれません。「身体の病気」ですが「心理・社会的因子」が大きく影響している病気を心身症といいます。まず、ストレスの原因を探すことが大切になります。そして、把握できたら早期に取り除いたり弱めてみましょう。しかし、思春期になると複雑でストレスの原因がわからないこともあります。そのような場合は、身体の治療と同時に心理療法が大きな力になるので、心身症の専門外来がある病院を紹介してもらうといいでしょう。
学校でスクールカウンセラーの先生に相談しました。その先生は臨床心理士だったのですが、その他のいろいろな職種の方がスクールカウンセラーをされていることもあるのでしょうか?
「臨床心理士」とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする“心の専門家”です。佐世保市など県北地区では臨床心理士の人数が限られているため、他職種の方がスクールカウンセラーとして配置されている学校もあります。学校でスクールカウンセラーに相談されるときには、どのような職種の方なのか?どのような経歴や経験をお持ちなのか?など、そのスクールカウンセラーの専門や経験を踏まえて話をすることが大切でしょう。
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