おとなになってから発達障害になる人もいるのですか?
平成17年度施行された発達障害者支援法にも発達障害の定義があります。「何らかの脳機能障害が存在すること」「低年齢で生じる」ということが発達障害の前提です。しかし、「学校では順調だったけど就職してからうまくいかない」「子育て中だけどママ友や人間関係に苦労している」など、成人になってからその存在に気付くこともあります。
うちの子は「自閉スペクトラム症」なのですが、同じ診断名でも、他のお子さんとはかなり違います。どうしたらいいのでしょうか?
自閉スペクトラム症(ASD)や広汎性発達障害といった社会性の障害は、幅が広いのが特徴です。コミュニケーション能力を例にとっても、クラスで何とかやっていける軽い子どもから、人とのやり取りが全くできない重い子どもまでが存在しています。知的な能力やコミュニケーションスタイル、感覚の問題などを含めると、同じ診断名でも様々な子どもがいるのです。心理検査などの結果について詳しく説明してもらい、一つ一つ理解していくことが大切でしょう。
学校の成績は良好なのですが、友達関係など人付き合いが苦手なようです。今のところトラブルはないのですが、将来のことが心配です。
学校では優秀な成績を修めている子ども中にも、発達障害児が、比較的高い割合で含まれていることがわかっています。特に、知的な能力が非常に高い子どもは、高すぎる知能に振り回されたり、アンバランスな能力に悩んだり、様々な問題を抱えることが多いようです。将来、せっかくの高い能力が、活かせないことも考えられます。「成績」や「高い知的能力」で安心するのではなく「社会に適応するために何が必要なのか」を親が考えることが大切なのです。
発達障害の人は多いのでしょうか?
文部科学省の平成24年度調査では。教育上の配慮を要する児童生徒は6.5%、特別支援教育に在籍する発達障害の児童生徒は同年度1.4%、合わせて7.9%です。日本全体で考えると、1億3千万人の人口で約1千万人が発達障害となり、非常に数が多いことがわかりますね。
発達障害についてネットや本を読んで勉強しているのですが、息子にはあまり当てはまりません。対処方法も参考になりません。
発達障害の書籍は極めて数が多く、著者も様々なので、色々な観点から書かれています。また、典型的な発達障害の子どもについて書いてあることがほとんどなので、「自分の子どもに合わない」という方も少なくありません。発達障害の子どもには、オーダーメイドの支援が必要です。それぞれの特性に合わせたサポートやプログラムを臨床心理士などの専門家に組み立ててもらいましょう。
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公認心理師・臨床心理士の吉田直樹先生