皆さん、今年はどんな初夢を見ましたか?睡眠の問題は、子育て世代のママやパパにとっても、子ども自身にとっても大切なトピックですね。そこで、今回は、小中学校や医療機関、心理相談室で、子どもの睡眠の問題についてアドバイスしている公認心理師・臨床心理士の吉田先生に聞きました。参考にしてくださいね。
育児情報誌ママパパには毎号「教えて直樹せんせ」という定番ページがあり、読者の皆さんから寄せられた声をもとに、こころの専門家である吉田直樹先生にお話を伺っています。
子どもも睡眠不足になったり、睡眠障害を起こしたりするのですか?
様々な調査により、子どもの生活リズムが夜型になっている傾向が明らかにされています。子どもも保護者の方と同様に、睡眠習慣の乱れや問題を抱えることがあり、肥満や生活習慣病(糖尿病・高血圧)、うつ病などの発症率を高めたり悪化させるリスクが高まります。
なぜ、睡眠は、子どもはもちろん私たちに大切なのですか?
疲労からの回復
眠りにより体内や脳に蓄積された疲労物質が除去されます。睡眠不足になると、ミスをしたり、集中できず学習障害や注意欠如多動症などの発達障害と間違われるケースもあります。
成長(再生)の促進
子どもにとって睡眠は、脳の発達に不可欠です。寝ているときに、重要なホルモンが分泌されるからです。特に成長ホルモンは子どもの成長だけでなく、成人でも重要な働きをしています。
情報の整理・定着
寝ている間に、脳は、前日に取り込んだ情報を必要なものと不要なものに分類し整理していきます。必要なものは、記憶として定着させていくのです。
子どもに必要な睡眠時間は、何時間くらいでしょうか?
子どもの睡眠時間は、成人とは大きく異なり、また、年齢によっても違います。一般的な目安は以下の通りです。
1~2才-11~14時間 3~5才-10~13時間 6~13才-9~11時間 14~17才-8~10時間
ただ、日本人の統計によると小学校低学年では平均9時間半でギリギリですが、高学年になると平均8時間半で明らかに不足しています。また、22時以降に就寝する小学生は約40%とされ深刻な問題になっています。
なぜ、子どもの睡眠が不規則になるのですか?
夜更かしの原因は、スマホやゲーム、学業など様々ですが、「何となく」という子どもが最も多いとされています。私たちの身体では、朝、明るい光を浴びて約14時間後に眠気を感じるように体内時計がセットされます。しかし、生活リズムが不規則な子どもは、毎日の体内時計のセットがまちまちなので、就寝も起床も不規則になります。そして、週末に遅く起きしまい、さらに太陽光を浴びる機会を逃すとさらに睡眠がズレて悪循環に陥るのです。睡眠不足の子どもは、週末に解消する傾向があります。平日に比べて週末に3時間以上遅くまで寝ている場合は、寝不足があると判断されるので対応が必要です。
子どもの睡眠について家庭で気を付けることはありますか?
毎朝、同じ時刻に起床しましょう。カーテンを開けて最低10分程度、太陽の光が顔や身体に当たるように窓際で過ごすことが大切です。学校から帰宅後の睡眠はよくないので、夜まで寝ないように心掛けましょう。夕食は、19時までに食べ終わるのが望ましいです。就寝する2時間前までに入浴して、体温が下がった状態でふとんに入りましょう。寝る前に、反省したり心配するのはやめましょう。嬉しいことや楽しい話がふさわしいです。
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