教えて直樹せんせい 育児情報誌ママパパ

自己肯定感とは?②(2019年3月・4月号掲載)

前号で「自己肯定感の基本」について掲載したところ、読者のママやパパから大きな反響をいただきました。わが子の「自己肯定感」について気になっている方が多いのにビックリ!そして「ほめないといけないとわかっていても子どもをほめられない」「親からほめられた経験がないので、どうしたらいいのか?」などの悩みも寄せていただきました。そこで、今回は読者の皆さんの質問に、自己肯定感を高める認知行動療法を専門としている公認心理師・臨床心理士の吉田直樹先生に聞いてみました。

ママやパパからの自己肯定感についての質問を拝見していると「ナンバーワンにならなくてもいい、もともと特別なオンリーワン」という歌詞が流れてくるようです。いつの時代も、親の子どもへの気持ちは変わらないんですね。今回は、前回の基本をベースにしながら、もう一歩進んだ自己肯定感をお伝えしたいと思います。

自己肯定感にはいくつかの種類があると聞いたのですが?

主に乳幼児期に育まれる「絶対的な自己肯定感」、幼児期から児童期に発達する「他者による自己肯定感」、思春期から青年期に伸びる「自己受容からの自己肯定感」があります。

赤ちゃんの時に、夫婦ケンカがひどかったり、愛情が不足していると自己肯定感が低くなるって本当ですか?

乳幼児期に、ママやパパもしくはそれに代わる存在の人から愛情を受けることで育つのが「絶対的な自己肯定感」です。

その子どもがどのような存在でも、ありのまま無条件に受け止めることで育まれます。しかし、家庭が不安定だったり、子どもに目が向けられないと、自分の存在が全否定されているように感じて自己肯定感が低くなります。ただ、時間はかかりますが、成長してからも無条件に受け入れられる経験を積み重ねることで補うことは可能です。


今年、小学校に入学するのですが、やはり最初が肝心なので、何でも自分でさせようと思っています。自己肯定感は大丈夫でしょうか?

園では先生!家庭ではママやパパ!

何かをして周囲からほめられることによって発達するのが「他者による自己肯定感」です。最近の研究では、幼児期は比較的高い自己肯定感が、小学校に入ると急激に低下することがわかってきました。友達と比べて「足が遅い」「字が下手」など自信が揺らぐことが影響しているようです。やはり、子どもの能力や特性に合わせた対応をすることが自己肯定感を育てる上でも大切になりますね。


中学校一年生の娘が「背が低い、足が太い、鼻が低い」から始まって「私やさしくない、友達がいない」とネガティブなことばかりつぶやいています。どうしたらいいのでしょうか?

思春期がいよいよスタートです。

身長や体重など外的な側面から始まり、しだいに性格や人間関係など内面的な側面に子どもたちの意識が移っていきます。自分の様々な面を客観的に理解できるようになると「自分は何者であるか」というアイデンティティがしだいに確立していきます。そして、長所だけではなく短所も含めて自分らしさを受け入れるのが「自己受容からの自己肯定感」なのです。親は、子どもとの適度な距離を保ちながらサポートすることを心がけましょう。


子どもの自己肯定感を上げる方法を探しています。家庭でも簡単にできることはありますか?

今回、紹介した3つの自己肯定感にいい影響を与える方法があります。

家に子どもや家族の写真を飾ることです。子どもは自分の写真を見たり、旅行など思い出の写真があることでママやパパからの愛情を感じます。運動会や発表会などの写真からは「できた」というプラスのメッセージも伝わるでしょう。そして、何より親子のコミュニケーションの機会になります。また、台紙に写真を貼りイラストやタイトルを添えたスクラップブッキングもおすすめ。アメリカでは家族が大きな転換点を迎えた1980年代に誕生して、今では人気№1のクラフトです。


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