前々号で「自己肯定感の基本」、前号で「自己肯定感Q&A」を掲載したところ、読者のママやパパから「どうしたら自己肯定感を高められるの?」という質問を多数いただきました。「子どもの自己肯定感を壊しているの私かも?」「ほめ方やしかり方って、これで本当にいいのかな?」「私って毒親?」などなど悩みも寄せていただきました。そこで、今回は、自己肯定感を高める方法について、認知行動療法を専門としている公認心理師・臨床心理士の吉田直樹先生に聞いてみました。
「自己肯定感の基本」でも紹介しましたが、まず「自分自身に満足している子ども」が2人に1人しかいない現実を受け止めることが大切です。別の調査では「自分はダメな人間だと思うことがある」という高校生が7割を超えるという結果も出ています。つまり、「自分の子どもの自己肯定感がどの程度育っているのか?」「三種類の自己肯定感の中で何が必要なのか?」をしっかり見極めて自己肯定感を高める必要があるでしょう。
❶「無条件にほめる方法」いい成績をとる」など何か特別なことなくても、子どもの存在自体をほめることです。「生まれてきてくれてありがとう」「ママやパパはあなたのことを大切に思っているよ」など親が無条件にほめることで絶対的な自己肯定感が育まれます。そして、親の無条件の愛情が、子どもの自分自身を信頼する力につながっていくのです。
❷「条件付きでほめる方法」
「かけっこ一番、おめでとう」「ダンスじょうずに踊れたね」など子どもが頑張った時やよい結果を出した時にほめる方法が「条件付きでほめる方法」です。子どもの努力や達成したことについてほめるので、親にとっては比較的取り組みやすいでしょう。そして、周囲から認められることにより、他者による自己肯定感がさらに伸びるので、他人からの評価に右往左往しなくなります。
絶対的な自己肯定感が育っていない子どもの場合、条件付きのほめ方ばかり親が使うと、どうなるでしょうか?「宿題をきちんとするからほめられる」「絵が上手だからみんなから認められる」「英語が話せるから親が喜んでくれる」など全てが条件付きになってしまいます。このような条件付きの自信は、一度の失敗により瞬く間に失われ「できない自分には価値がない」と自己否定のきっかけになるので注意しましょう。
絶対的な自己肯定感だけが高く、親が過保護の場合、「自分はできる」という気持ちが強くなりすぎ、親のフォローで想定通りに物事が進むので、失敗や挫折を知らない王子様やお姫様を作り出してしまうことがあります。このような自己愛が強い子どもは、他人を見下すことで自分を保とうとするので、むしろ自己肯定感は低くなってしまいます。やはり、条件付きでほめる時には、具体的な行動や成果についてほめることが大切です。
子どもの自己肯定感ばかりが注目されますが、親の自己肯定感はどうでしょうか?家族や他人の目を意識しすぎて「親は子どもにしつけをするべき」「親がきちんと宿題をさせねばならない」など自分を追い詰めていませんか?「~するべき」「~せねばならない」ではなく「できるだけ~したい」に変えるとストレスも和らぎ、自分の気持ちに素直になれたり、子どもの気持ちに寄り添う余裕も生まれるでしょう。
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