新型コロナウィルスの影響により、学校は休校、その後は春休みもあり、子どもと過ごす時間が増えましたね。宿題などを通して子どもと接すると、特に気になるところが見えてくるようです。そこで、今回は、新年度がスタートするにあたり、子どもの能力を上手に伸ばすコツについて、公認心理師・臨床心理士の吉田直樹先生に聞いてみました。
知能指数IQとは何ですか?
知能指数IQ=学力と勘違いしているママやパパが多いですね。簡単に言うと、子どもが見たり聞いたりしたものを、脳の中でどのように処理して、どんな反応をするのかを示すものです。したがって、学力も一部入りますが、園や学校、家庭生活など全般に関わる能力と考えてください。心理学の専門家である臨床心理士が知能検査で測定します。
「国語はできるのですが、算数は全然できません」「勉強は好きなのですが、運動は嫌いです」「テストではいい点が取れるのですが、作文や絵をかくなど自己表現が苦手です」どうしたらいいのでしょうか?
学校では「得意・不得意」と片付けられてしまい、残念ながらあまり問題にしてくれません。しかし、当事者の子どもにとってはもちろん、ママやパパにも大きな問題です。学業や運動ができないことで、すべてにやる気を失くしてしまう子どももいます。やはり、極端な場合には、知能検査などの心理検査を実施して対応を検討する必要があります。
知能指数IQは変えることはできるのですか?
知能は生まれ持った能力なので、極端に伸ばしたり、手を加えることは、子どもの個性を奪うことにもつながります。ただ、「字が整わない」「すぐに忘れてしまう」「作業が遅い」など学校や家庭で支障があれば、認知トレーニングなどの心理カウンセリングを通して知能のバランスを整え、問題の改善につなげることができます。
「理解力はある」と担任の先生から言われるのですが、学力には反映されないので困っています。
知能=「理解力」だけでは、学力を伸ばすことはできません。「授業中、落ち着きがない」「宿題や文章題などにきちんと取り組めない」「興味がなく意欲が見られない」「自分に自信がない」など心理的に安定しなければ学力は積み上がらないのです。まず、自分のことを理解して、感情をコントロールしながら、モチベーションを保つことが必要です。これは、心の知能指数「EQまたはEI」と呼ばれています。
子どもの気持ちが不安定で困っています。そのせいで勉強も友達関係もうまくいなかないようです。どうしたらいいのでしょうか?
欧米の研究によるとIQよりも心の知能指数(EQ、EI)の方が社会的な成功や経済的な裕福さにつながっているとされています。子どもの心の知能指数を高めるために欠かすことができないのが、ママやパパとのコミュニケーションです。まず、子どもの感情への「気づき」が必要になります。そして、顔色が曇ったり、怪訝そうにしたり、ちょっとした表情や行動の変化を敏感に感じましょう。難しい場合には、臨床心理士による親子のコミュニケーション・トレーニングで身に着けるといいですね。
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