新型コロナウイルス感染症対策の休校や休園などで、「親子で過ごす時間!」確実に増えましたよね。ママパパ編集部でも、こころあたたまる親子のエピソードを耳にする一方、親子のトラブルや悩みもたくさん寄せられました。そこで、今回は、親子のコミュニケーションを中心としたペアレント・トレーニングを専門としている公認心理師・臨床心理士の吉田先生に聞いてみました。ぜひ夏休みに活かしてくださいね。
子どもが「パパやママは忙しくて私の相手をしてくれない」と言っていると祖父母から指摘されました。できるだけ子どもと一緒にいる時間を作ったり、遊んだりしているつもりなのですが…。
「子どもと遊んでいるけど、野球やサッカーのテレビ中継が気になるパパ」「子どもの話を聞いているけどスマホでLINEしているママ」などなど…、ついついやってしまいますね。しかし、「ながら遊び」や「ながら話」では、本当に子どもと遊んだり話したりすることにはなりません。どんなに「聞いてるわよ」とことばで表現しても、パパやママが忙しかったりバタバタしていると、自分の態度や話し方が、子どもに気持ちが向いていないことを伝えてしまうのです。特に年少になればなるほどその傾向が強くなるので、子どもがはっきりとわかるように行動で表現して向き合いましょう。
園や学校からは「スキンシップをしてあげてください」と言われるのですが、私自身、人とベタベタするのが苦手なところがあり困っています。子どものことは好きなのですが…。
スキンシップの重要性は、新型コロナウイルスの影響で、人とふれあう機会が減少したことでも再確認されています。生まれたての赤ちゃんをママの胸に乗せるのも、人がスキンシップを必要とする一例です。肌に触れると皮膚のセンサーが刺激され脳内に信号が送られ、神経がしずまり心拍数と血圧が下がりリラックスします。ストレスホルモンを減少させるとともに、互いの絆を強める働きをするオキシトシンが分泌され、幸福を感じて心も元気になるのです。しかし、スキンシップが苦手な場合は、子どもにマッサージをしてあげたり、一緒にエクササイズをするのはどうでしょうか?犬や猫などペットとふれあうことも同様な効果がありますよ。
子どもとコミュニケーションをしようと話しかけるのですが「うん」「そう」「いや」という答えばかりで会話が止まってしまいます。上手な声掛けの仕方などがあるのでしょうか?
親子のコミュニケーションには、親がスキルを学ぶことでカバーできる部分もかなりあります。子どもへの質問の方法を例に挙げてみましょう。質問には、大きく2つの方法があります。一つがクローズド・クエスチョン、もう一つがオープン・クエスチョンです。
子どもが「はい、いいえ」の二者択一や「A or B or C」の三者択一などで答えられるような、回答を限定した質問の方法です。会話が広がらない親子は、このクローズド・クエスチョンを多く使っています。例えば、親が「今日、学校楽しかった?」と聞いても「うん」で終わってしまい、コミュニケーションがつながりません。
回答に制約を設けず、子どもが自由に答える質問の方法です。「今日のプールどうだった?」「どんなことが楽しかった」などのように子どもの思いや考えを聞き取ることができるので、会話も広がりコミュニケーションも活発になります。
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